1972年12月22日のウィーン國立歌劇場(演出は1980年同歌劇場來日公演でも上演されたボレスラフ?バルロク)でのライヴ?ステレオ録音。
ベームの『サロメ』正規(guī)盤としては1970年にハンブルク國立歌劇場(主役にG.ジョーンズ)との録音、1974年ウィーン?フィルとの映像(主役にT.ストラータス、G.フリードリヒ演出)がそれぞれDGから発売されています。今回の音源は年代的に両者の中間に位置するものですが、最終的にはそれらのディスクとは違う感銘を與えてくれます。
『サロメ』のように(途中で寸斷されず)一気呵成に上演される作品の性格と、情景描寫に沒入の余り音楽が熱気を帯びていく全盛期ベームのスタイルを考えれば、ライヴ録音の利點(diǎn)はたいへんに大きいと言えるでしょう。とりわけ“7つのヴェールの踴り”以降、サロメとヘロデの掛け合いが佳境に入るに連れて、ベームのテンポがどんどん前のめりになって音楽が高揚(yáng)していくありさまは、強(qiáng)烈というほかありません。
オーケストラも優(yōu)秀で、至難なアンサンブルの中に、柔らかい獨(dú)自の音色を織り込んでおり、さすがはウィーン?フィルといったところ。キャストには定評(píng)あるヴェテラン勢を配しており、心技一體の迫真の演技で迫るリザネクのサロメを筆頭に、重厚なホップのヘロデ王、性格的なホフマンによるヘロディアス、力強(qiáng)いヴェヒターのヨカナーンに、クメントの立派なナラボート等、どこをとっても優(yōu)れた歌唱といえる高水準(zhǔn)ぶりです。