「死體の顔をなぜ青く?」工蕓界の美しき連続殺人! 霞田(かすみだ)探偵VS闇の探偵"男爵(バロン)"推理対決! 探偵霞田志郎が見合い!?——天才的推理で知られる"男爵"こと桐原が美貌の藍(lán)染作家?志賀織香(しがおりか)を霞田に紹介した。その矢先、彼女の師に當(dāng)たる東藤(とうどう)が工房で毒殺。死體はなぜか頭部を藍(lán)甕(あいがめ)に突っ込んでいた。霞田は事件解決に挑むが、第二の殺人が! 藍(lán)染教室の生徒だった人妻の杉子が絞殺されたのだ。しかも死體の顔を青く塗られて…。奇妙な殺人現(xiàn)場の謎を追う志郎の行く手には不気味な桐原の影が。華やかな伝統(tǒng)工蕓界の暗部が浮かび上がったとき、犯人の魔手は織香へ伸びていた…。 <著者のことば>藍(lán)が染料として使われるようになったのは紀(jì)元前2000年頃のエジプトからだと言われています。それがインド、中國を経由して日本に伝わったのが飛鳥時代。以後藍(lán)染は日本各地に普及し、江戸時代に全盛を迎えます。紫が高貴な色なら、藍(lán)は庶民の色でした。安藤広重の「東海道五十三次」を分析すると、描かれている人物の64%が何らかの藍(lán)染製品を身につけているそうです。明治以降、化學(xué)染料の発達(dá)によって藍(lán)染は衰退していきますが、現(xiàn)在でも技術(shù)は受け継がれ、優(yōu)れた工蕓品や蕓術(shù)作品が生み出されています。霞田兄妹シリーズの新作は、そうした藍(lán)染が生み出される現(xiàn)場で起きた凄慘な殺人事件の顛末(てんまつ)です。