小さき者へ?生れ出づる悩み (新潮文庫) 有島武郎/著   注?三好行雄  解説?本多秋五


★1972年刊  定価80円(現(xiàn)在改版されています  定価506円)  103?


「白樺派」有島武郎が、大正7年、旺盛な作家活動に入り物した秀作。
翌年、本格的リアリズム文學(xué)『或る女』を世に問うた。

妻を失い、新しく蕓術(shù)に生きようとする作家の覚悟と、殘された小さき者たちに歴史の未來をたくそうとする父性愛にあふれたある夜の感想を綴る『小さき者へ』?!熬?quot;という語りかけで、すぐれた畫才をもちながらも貧しさゆえに漁夫として生きなければならず、烈しい労働と不屈な蕓術(shù)的意欲の相剋の間で逞しく生きる若者によせた、限りない人間愛の書『生れ出づる悩み』の二編を収める。

目次
小さき者へ
生れ出づる悩み
注  三好行雄
解説 本多秋五


本書収録「小さき者へ」より冒頭
お前たちが大きくなって、一人前の人間に育ち上った時、――その時までお前たちのパパは生きているかいないか、それは分らない事だが――父の書き殘したものを繰拡げて見る機(jī)會があるだろうと思う。その時この小さな書き物もお前たちの眼の前に現(xiàn)われ出るだろう。時はどんどん移って行く。お前たちの父なる私がその時お前たちにどう映るか、それは想像も出來ない事だ。

本書解説より
彼はもっとも正統(tǒng)的なリアリズムの作家にちがいないのだが、彼の作品にはわれわれの日本的現(xiàn)実感に何か馴染みにくいものがある。(中略)これらは私がひとり考えでそう思うのであるが、そこから私は有島武郎をかなり難解な作家ではないかと思っている。しかし、『小さき者へ』と『生れ出づる悩み』は、いわば人としての有島武郎を直接にあらわしている?yún)g純な作品(こういう作品は有島に多くない)で、一読して誰にもわかる通りの作品であって、ほとんで解説の必要をみないと思う。
――本多秋五(評論家)

有島武郎(1878-1923)
明治11年、東京生れ。札幌農(nóng)學(xué)校卒業(yè)後、3年間アメリカに留學(xué)。帰國後、母校の英語教師となる。明治43年、創(chuàng)刊された雑誌「白樺」の同人となり、文學(xué)活動をはじめる。大正5年、妻と父の死を機(jī)に、本格的な創(chuàng)作活動にはいり、『カインの末裔』『小さき者へ』『生れ出づる悩み』などを次々に発表。大正8年には改稿をかさねた『或る女』を完成するが、第1次世界大戦後の社會運(yùn)動の波に內(nèi)的動揺をきたし、大正11年、有島農(nóng)場を解放。大正12年、波多野秋子と共に自殺。

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