1993年11刷。帯付き。帯に少傷。表紙カバー背に色褪せ。本文軽い経年ヤケ。138-139ページやや開き癖。

商品説明
原題は『GAIA: A new look at life on Earth』。ガイア仮説からガイア理論に発展した思想の原典である。この仮説の出発點(diǎn)は、「大気をはじめとする地球のさまざまな無機(jī)特性を観察することから始まっている」
1970年代、NASAによる火星探査に先立つ地上調(diào)査が行われ、著者らが火星と地球ではその大気組成に大きな違いがあることを発見した。そして導(dǎo)き出されたのが、地球の大気組成はきわめて不思議な非平衡狀態(tài)にあり、地球を総體としてその平衡狀態(tài)を自動(dòng)調(diào)節(jié)する機(jī)能(サイバネテックス)を持っている有機(jī)體、つまり巨大な一個(gè)の生命體とみなす、という大膽な仮説であった。

原著発刊當(dāng)時(shí)、ガイア仮説はほとんど無視された。リン?マーギュリスとカール?セーガンを除いて。しかし、後にオートポイエーシスや自己組織化の地球生成などとともに認(rèn)められるようになった。

太古の苛酷な地球環(huán)境(太陽はまだ弱々しく、強(qiáng)烈な放射線にさらされ、遊離酸素がほとんど存在しない狀態(tài))から生命の旅が始まったという。ラヴロックは努めて悲観的になり過ぎないよう、科學(xué)的洞察力と平常心をもって仮説を説こうとしている。たとえばレイチェル?カールソンの悲観論にやんわりと反意を表すというように。彼の視點(diǎn)は、今日のエコロジストの心情からすればあまりにも楽観的に思えるかもしれない。第7章「ガイアと人間― 汚染問題」の末尾で、「唯一の汚染― それは人間なり」と言っているのは彼の本心でもあり、人間中心主義に対して唯一見せたシニシズムでもあろう。

また、この訳者による翻訳は全般的にわかりやすく良質(zhì)である。しかし、“訳者後記にかえて”は翻訳者の立場(chǎng)を越えて自己主張しすぎであり、読むに耐えない。また、そこに書かれている內(nèi)容は一部明らかにナイーブすぎる。本文中にも訳注と稱して妙な疑問や間の手を差し込んでいるのは笑止なだけでなく、著者に対して不誠実であり、同時(shí)に編集者の良識(shí)を疑うものである。(澤田哲生)