全44巻揃(全42巻/補巻1、別巻1)
新発見、未発表作品を完全収録する決定版全集!
各巻の內容は次のようになっています。
1巻「長編小説1 海賊、仮面の告白、純白の夜」
2巻「長編小説2 愛の渇き、青の時代、夏子の冒険」
3巻「長編小説3 禁色」
4巻「長編小説4 につぽん製、潮騒、戀の都」
5巻「長編小説5 女神、沈める滝、幸福號出稿」
6巻「長編小説6 金閣寺、永すぎた春、美徳のよろめき」
7巻「長編小説7 鏡子の家」
8巻「長編小説8 宴のあと、お嬢さん、獣の戯れ」
9巻「長編小説9 愛の疾走、午後の曳航、肉體の學?!?/SPAN>
10巻「長編小説10 美しい星、絹と明察」
11巻「長編小説11 音楽、三島由紀夫レター教室、夜會服」
12巻「長編小説12 複雑な彼、命売ります」
13巻「長編小説13 春の雪、奔馬」
14巻「長編小説14 暁の寺、天人五衰」
15巻「短編小説1 花ざかりの森、みのもの月 他」
16巻「短編小説2 世々に殘さん、岬にての物語 他」
17巻「短編小説3 殉教、幸福といふ病気の療法 他」
18巻「短編小説4 日曜日、真夏の死 他」
19巻「短編小説5 橋づくし、百萬円煎餅、スタア 他」
20巻「短編小説6 憂國、三熊野詣、英霊の聲 他」
21巻「戯 曲1 火宅、綾の鼓、夜の向日葵 他」
22巻「戯 曲2 白蟻の巣、芙蓉露大內実記 他」
23巻「戯 曲3 弱法師、十日の菊、黒蜥蜴 他」
24巻「戯 曲4 喜びの琴、サド侯爵夫人、わが友ヒットラー 他」
25巻「戯 曲5 癩王のテラス、椿説弓張月 他」
26巻「評論1 桜、王朝心理文學小史、芝居日記 他」
27巻「評論2 ノート、アポロの杯 他」
28巻「評論3 私の小説の方法、小説家の休暇 他」
29巻「評論4 自己改造の試み、現(xiàn)代小説は古典たり得るか 他」
30巻「評論5 裸體と衣裝、不道徳教育講座」
31巻「評論6 文章読本、十八歳と三十四歳の肖像畫 他」
32巻「評論7 私の遍歴時代、林房雄論 他」
33巻「評論8 私の遍歴時代、林房雄論 他」
34巻「評論9 ナルシシズム論、「道義的革命」の論理、小説とは何か 他」
35巻「評論10 文化防衛(wèi)論、北一輝論、「國を守る」とは何か 他」
36巻「評論11 檄、參考作品 他」
37巻「詩歌 詩、俳句、短歌」
38巻「書 簡」
39巻「対談1 対話、日本人論〔林房雄〕 他」
40巻「対談2 討論三島由紀夫vs東大全共闘 他」
41巻「音聲(CD)」、42巻「書誌、年譜、索引他」
43巻「補遺、創(chuàng)作ノート、參考文獻、索引等」
44巻「映畫「憂國」
波 2003年12月號より 三島由紀夫全集の現(xiàn)在 決定版 三島由紀夫全集
さしも広大な三島由紀夫の世界も、この十一月に、第三十六巻(評論十一)までまとめられて、一段落。平成十二年十一月の刊行開始からまる三年、私たちは山坂を越え、息もつかずにここまで登りつめた、という感慨が深い。
今回の決定版全集は、沒後の第一回全集を経て三十年、山中湖村に開設された三島由紀夫文學館の協(xié)力を得て、少年時代の習作、草稿、創(chuàng)作ノートなど、久しく待たれていた未公開資料が収録できたのは、何よりもうれしいことである。
當時に比べて研究が充実深化するのは當然としても、三島文學には、これを取り巻く一種魔的な磁界があって、絶えずマニヤックな研究家、コレクターをひきよせるかのようであり、佐藤秀明、井上隆史、山中剛史氏をはじめ、編集協(xié)力の諸氏は、いずれも“考古學者の執(zhí)念をもつ”資料発掘の鬼であり、時には古代文字解読のアクロバット的努力をも要して、全體像は雲(yún)間から徐々にその威容を現(xiàn)しつつある。
「全集には斷簡零墨まで収録すべし」というのが、そもそも舊全集からの著者の遺言だが、無論これは“三島由紀夫ならでは”の自負の言と読める。四方に飛び散った飛沫の一?!─ⅳ长趣搐趣·丹使猡蛩蓼筏茽Nめくように、呪術にかかった言葉たちは読者の魂を痺れさせ、誰しも一滴まで、その醍醐味を追求せずにはいられないのだ。
さて因縁の十一月、無事「檄」までを収め終って一息いれ、次の巻からはいよいよ第二段階に入る。
詩歌(第三十七巻)、書簡(第三十八巻)、対談?鼎談?座談(第三十九?四十巻)、音聲(CD)(第四十一巻)、作品年表、著書目録、被翻訳作品目録、上演?上映?放送目録、年譜(第四十二巻)、さらに、當初の予定にはなかった補巻を追加する予定で、補遺(小説、戯曲、評論、翻訳、創(chuàng)作ノートなど、刊行途中で発見されたもの)、參考文獻一覧、索引などが収録される。いずれも新しい収録編纂で、完璧を期するため、今後は、原則として隔月刊の予定である(舊全集では不可能だったCDによる自作朗読なども、時満ちての収録である)。
第三十七巻の詩歌では、今回初収録のものが四八六篇(舊全集一七二篇)で、これは主に幼?少年時代に書かれたものであり、手づくりの詩集やノート十六冊から収録された(三島由紀夫文學館蔵の二冊以外は、あとで三島家から発見されたもの)。
これらは、あの短篇小説「詩を書く少年」の背景をなすもので、作中の「一週間詩集」なども実際に存在したことが確認される。十代後半には殆ど終息してしまうその旺盛な詩作活動は、たしかに三島文學形成期の秘密の鍵であることはまちがいがない。
第三十八巻の書簡。戦時中、勤労動員先の工場から両親宛に出された二十七通、「花ざかりの森」刊行時、世話になった富士正晴宛の十九通、戦中戦後の文學活動の一端が知られる中河與一宛八通、中村光夫宛二十八通は、心安い先輩への打あけ話。眷戀の「サロメ」上演のため、臺本の使用許可依頼から公演まで一連の経過がわかる日夏耿之介宛の六通。幸福な同時代者?澁澤龍彥宛三十六通、だが友情にヒビの入りそうなモデル問題(「暁の寺」の獨文學者)にはいち早く弁解の一通。神風連取材にまつわる荒木精之宛九通など、大半は未公開の書簡であり、その時々の生活や執(zhí)筆の背景があざやかに浮かびあがってくる。
北杜夫宛十通の內の一通などはいかにも微笑ましく、公表すれば悪口となるべき書評が、雑誌にはあえて別のものと差し替え、そのまま友情溢れる私信に化けてしまうという経緯が分かる。
第三十九?四十巻。対談?鼎談?座談は、全體で三百篇以上もある。大方は評論と遜色のない充実したもので、舊版では割愛せざるをえなかった単行本、たとえば林房雄との「対話?日本人論」、中村光夫との「対談?人間と文學」、伝説の「討論 三島由紀夫vs.東大全共闘」、さらに、対談集「尚武のこころ」「源泉の感情」。また文壇のみならず、演劇界、映畫界、政財界などにわたる、當時の華やかな交友関係が偲ばれる。
補巻は拾遺集で、三島由紀夫の潤色?NLT公演「リュイ?ブラス」臺本、また三島由紀夫文學館蔵の新発見の作品では、中等科四年時代の作文「神官」「冬山」、さらに「梅枝」「菊薫る環(huán)物語」「二令嬢」、幻の作「模倣の戀」創(chuàng)作ノートなど解読すべき作品が山積しており、當分資料探索の旅が続きそうである?!竷Wは鯨と同じで、骨も筋も皮も無駄に捨てられるものは何もないんだ」という三島由紀夫の言葉を噛みしめている現(xiàn)場である。