週末の帰宅電車の網(wǎng)棚で、鞄を取り違えられた中年サラリーマン。手元に殘された鞄から現(xiàn)金三千萬円が出てきた。翌日、ニュースで本來の所有者が殺されたことを知り、金の著服を企む。人生の一発逆転を狙った行動の結(jié)末とは―(「殺意を運ぶ鞄」)。多くの人間が行き來し、悪意が醸成されてゆく大都會。その日常にこそ最も危険な陥穽が待ち受けていることを描く傑作集。