錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木。日本各地の舊軍都に発生すると言われる「裂け目」。かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現(xiàn)代に蘇る。鮎観の一族は代々、この「裂け目」を封じ、記憶の化身たちと戦う“力”を持っていた。彼女と同族の遼平もまた同じ力を有した存在だった。愛し合い結(jié)婚した二人だが、息子を授かったことから運(yùn)命の歯車は狂い始め―。直木賞作家の真髄を味わえる、魅惑の幻想ファンタジー。