“旅人の木”―分厚い葉の基部に水を貯え、熱帯では渇いた旅人が喉を潤すという。僕は九つ違いで音信不通の兄を訪ねて、この街にやって來た。複數(shù)の女友達、アルバイト先の同僚…かつての憧れの的は、思いもかけぬ顔で僕を混亂させる。僕の渇きをいやす“旅人の木”はどこに。詩的なタッチで都會の漂流を描く青春小説。