朝焼けに始まり、光輝く星とともに締めくくられる『Closing Time』。ここには1973年當(dāng)時(shí)の甘く、メロディックな極上のトム?ウェイツの世界がある。その後の作品を特徴づけることになる、うめくようなヴォーカル?スタイルや主題をめぐっての大膽さがない代わりに、ワルツ、ララバイ、ブルース、ジャズ、ドライヴ?ソング、酒宴の歌、果てはカントリー?チューン「Rosie」までとにかく多彩だ。失戀の悲しみを歌うもの(「Lonely」)もあれば、辛辣さに満ちたもの(「Ice Cream Man」)、そして「あの頃はバラ色の日々だった/まるで一編の詩(shī)のように/マーサ、君は僕のすべてだったし、僕が君のすべてだったね」と歌われる老齢者のラヴ?ソングまである。他に「I Hope that I Don't Fall in Love with You」や「あの旋律を耳にするたび心の中で何かが砕け散る」とつぶやくようにウェイツが歌う「Grapefruit Moon」も傑出している。