刊行ご挨拶:
明治?大正?昭和の半世紀(jì)にわたり、常に進(jìn)化しながら、膨大な數(shù)の作品を書き続けた、まさに「文豪」の名にふさわしい作家、谷崎潤一郎。人間存在そのものに肉迫した傑作の數(shù)々は、沒後50年過ぎた今なお、日本のみならず海外でも高く評価されています。
谷崎の生まれた1886年(明治19)は、くしくも小社創(chuàng)業(yè)の年でもあり、25歳のときの「秘密」をはじめ、「吉野葛」「盲目物語」「春琴抄」「細(xì)雪」「鍵」、晩年の「瘋癲老人日記」等、代表作の多くが雑誌『中央公論』『婦人公論』に発表されるなど、非常に強(qiáng)い関係を保ち続けました。
谷崎生誕130周年と中央公論創(chuàng)業(yè)130周年を記念して、その豊かな世界を網(wǎng)羅した、決定版「谷崎潤一郎全集」をお屆けいたします。
決定版全集の編集にあたって:
谷崎潤一郎が沒して早50年。この50年間に文學(xué)をめぐる環(huán)境は大きく変わったが、人間の生に根差した本源的なものをさぐり、それを魅惑的な物語に結(jié)晶させた谷崎文學(xué)は時代を超えて読み継がれてきた。時代は活字の文化からITのデジタル文化へ移行したが、私たちが生きるうえに必要な物語の力を涸渇させてしまってはならない。20世紀(jì)の日本文學(xué)において絢爛たる作品世界を構(gòu)築し、馥郁たる物語性を発揮した谷崎は「大谷崎」と稱され、半世紀(jì)にわたり第一線で活躍しつづけたその作家活動からは數(shù)多くの名作が生み出された。
今回の決定版「谷崎潤一郎全集」は、新たなコンセプトによって編成しなおし、使いやすく、読みやすくなるようにさまざまな配慮を施した。収載する作品の配列は、基本として作者の最終完成形を示す単行本の形式を復(fù)元させ、それに編年體の方式を加味した。また谷崎文學(xué)の研究者の力を結(jié)集し、これまでの谷崎全集にはなかった「解題」をはじめて付し、初出紙誌、初刊本などいくつかの本文を校合して、主なヴァリアントを記載した。「細(xì)雪」など原稿が現(xiàn)存しているものに関しては、原稿とも校合した。
決定版の名にふさわしいように、谷崎潤一郎の文學(xué)的な業(yè)績を網(wǎng)羅したばかりか、ご遺族の協(xié)力のもと創(chuàng)作ノートや日記、メモの類にいたるまで豊富な新資料を収めた。旺盛なる谷崎の創(chuàng)作の秘密を私たち読者に開示する、今後の谷崎研究には必須の全集である。ここから新たな谷崎文學(xué)の魅力も発掘し得るものと確信する。