微祿の若者小森又十郎は、辛夷の花のようだと憧れていた首席家老の娘の再婚相手に指名され、夢見心地。しかし三日後、彼は周囲の猛反対を尻目に縁談を斷り、武士を捨て、陶器職人となる道を選んだのだった…表題作他、処女小説「廚房にて」から、直木賞受賞第一作「踏切は知っている」、「忠臣蔵余話おみちの客」まで、“作家池波正太郎”誕生の跡をたどる、ファン必読の未刊行初期短編9編。