カラヤン26年ぶりの「ばらの騎士」ということで、大きな話題となった82年の録音。ウィーン?フィルを率いた演奏と、
トモワ=シントウ、バルツァら歌手陣の歌唱はこの作品の最高峰と言える完成度の高さを誇っている。
1982年から84年にかけておこなわれたセッション?レコーディング。このオペラを得意としたカラヤンには、最初のセッション録音のほか、ライヴ録音や映像作品が複數(shù)存在しますが、完成度の高さではなんといってもこのドイツ?グラモフォン盤が一番です。
カラヤンお気に入りの歌手たちを集めた聲楽陣営の耽美的なことや、細部に至るまで完璧に練り上げられたウィーン?フィルのまばゆいばかりのサウンドには本當にすごいものがあります。
通常、なんとなく通過してしまうような箇所、たとえば第1幕のテノール歌手をまじえたにぎやかな場面で奏でられる室內(nèi)楽的な音楽での、美しく溌剌とスタートしながらもすぐに切々と情感を高めて行く心憎いばかりの名技に接してしまうと、この曲の名盤を量産しているウィーン?フィルといえども、細部まで完璧に音楽が刻み込まれた演奏はそうそうできるものではないということを?qū)g感するほかないというのが正直なところです。
もちろん、これにはムジークフェラインのサウンドを細部まで完璧に捉えることのできたギュンター?ヘルマンスの手腕があればこそなのでしょうが、それにしても第1幕の朝のドタバタ場面をこれほど音楽的に響かせた例はほかにありません。
この演奏の大きな特徴のひとつが、そうした細部に宿る「美」の発見の面白さが隨所にあるということと思われますが、作品本來の性格を考えると、そうしたカラヤンの手法は大正解と思われます。
その耽美主義、完全主義の徹底ぶりは、執(zhí)念すら感じさせるすごいもので、それに多額の予算を投じて応えたレコード會社の英斷もあり、まさに贅をつくしたという言葉のふさわしいゴージャスな全曲録音が完成したということなのでしょう。録音蕓術(shù)としてのオペラの究極の姿を示した歴史に殘るアルバムです。(HMV)