アウグスティヌス著作集 全23巻 教文館
アウグスティヌス:
ローマ帝國末期に、北アフリカのカルタゴで活動したキリスト教の教父。アウグスティヌスはローマ帝國の屬州、北アフリカのヌミディアの出身でカルタゴで學(xué)んだ。父は異教徒、母は熱心なキリスト教徒であったが、青年時代の彼は、一時若い奴隷の女性と結(jié)婚したり、マニ教の教義に惹かれたりして信仰に悩んだ。384年、ミラノに行きアンブロシウスの説教を聞き、また新プラトン主義の哲學(xué)に觸れて思索を深め、キリスト教に回心した。アフリカにもどり、ヒッポの司教として、マニ教などの異教やキリスト教の異端との論爭を通じて、次第にカトリック教會としてのキリスト教理論をうち立てていった。カルタゴでの青年期の素行やマニ教への入信を告白し、キリスト教への回心の経緯をつづった『告白』(400年ごろ)は、古代キリスト教文學(xué)の傑作とされ、後世に大きな影響を與えた。また、西ローマ帝國の衰退という現(xiàn)実の中でカトリック教會のあり方を論じた『神の國』(426年)は、カトリック教會の存在意義を明らかにし、中世キリスト教思想の基盤となった。