花曇りの空の下に交叉する迷いと悔恨。風(fēng)見鶏にたくす人生の岐路。將來を囑望された若き醫(yī)師が、大學(xué)講師の椅子を捨て、作家を志し、妻子を置いて上京、木造アパート6畳1間に居をかまえ、花曇りの4月の空を見上げて「どうしようか、帰ろうか」とつぶやく。「故郷を捨ててとか、雄志を抱いて、というのにはほど遠(yuǎn)い、なんとなく行きがかり上、札幌にいたたまれず、東京へ出てくることになったまで」なのだが、いざとなると怖気づいてしまう青年の不安と焦燥をあざやかにとらえて胸打つ。札幌醫(yī)大整形外科講師から流行作家渡辺淳一の誕生の原點(diǎn)をリリックな筆で自伝風(fēng)に描く表題作『四月の風(fēng)見鶏』。他に醫(yī)師を主人公の佳作6編を収録。