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戦爭を書くのはつらい。書き殘さないのは、もっとつらい。──城山三郎
海軍特別幹部候補生として終戦を迎えた著者による、哀切のドキュメント?ノベル。

神風(fēng)特別攻撃隊第一號に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。敗戦を知らされないまま、玉音放送後に「最後」の特攻隊員として沖縄へ飛び立った中津留達(dá)雄大尉。すでに結(jié)婚をして家庭の幸せもつかんでいた青年指揮官たちは、その時をいかにして迎えたのか。
海軍兵學(xué)校の同期生であった二人の人生を?qū)澅趣丹护胜?、戦爭と人間を描いた哀切のドキュメントノベル。城山文學(xué)の集大成。解説?澤地久枝。

本文より
私は、それこそ飛び立つ思いで沖縄へ。
那覇空港で降り、沖縄本島を北へ縦斷し、運天港へ。
そこから、日に二便の伊平屋村営のフェリーに乗り、約八十分の船旅という道程である。
本島から遠(yuǎn)ざかると、一面に濃いエメラルド色の海。
しばらくして、進(jìn)行方向左手に伊江島が見えたが、その先もまた波また波。
だが、私は少しも退屈しなかった。波間から浮き上がり語りかけてくるものがあったからである。
この海には、數(shù)え切れぬほどの特攻隊員が沈んでいるはずである?！?本書191ページ)

城山三郎(1927-2007)
名古屋生れ。海軍特別幹部練習(xí)生として終戦を迎える。一橋大學(xué)を卒業(yè)後、愛知學(xué)蕓大に奉職し、景気論等を擔(dān)當(dāng)。1957(昭和32)年、『輸出』で文學(xué)界新人賞を、翌年『総會屋錦城』で直木賞を受賞し、経済小説の開拓者となる。吉川英治文學(xué)賞、毎日出版文化賞を受賞した『落日燃ゆ』の他、『男子の本懐』『官僚たちの夏』『秀吉と武吉』『もう、きみには頼まない』『指揮官たちの特攻』等、多彩な作品群は幅広い読者を持つ。2002(平成14)年、経済小説の分野を確立した業(yè)績で朝日賞を受賞。