ルブランが産み出した稀代の怪盜、アルセーヌ?ルパンは発表直後から各國語に翻訳され、本國フランス以外の世界中で愛好されてきました。その中でも特に日本における「ルパン熱」が世界でも希なものなのは確かなようで、近くの書店にひょいといけば必ずルパンシリーズが何冊か置かれている、図書館に行けばなにがしかの全集がたいてい揃っている、というのはやはり凄いことのようです。しかもそうしたルパン熱がルパンシリーズ発表直後から21世紀の今日に至るまで連綿と続いてきたのを見れば、やはり日本人はルパンを熱愛し続けた國民であると言わざるを得ないでしょう。
●翻訳の開始~保篠龍緒の登場<大正時代>
いよいよ翻案から翻訳の時代へ。フランスで原作が発行されると素早く翻訳が出る時代になる。そして「ムッシュ?ルパン訳者」たる保篠龍緒(本名:星野辰男)が登場、ルパンシリーズを片っ端から訳し始める。探偵小説ブームも起こり、各種叢書にルパンシリーズが収録されるようになる。
●各種「ルパン全集」の出現(xiàn)<昭和前期~戦中期>
昭和の代に入り、ルパンシリーズの浸透にいよいよ拍車がかかる。保篠龍緒による全集も次々刊行され、少年向けバージョンや、ルパンが日本に出張してくるバスティーシュまで登場。原作者ルブランが亡くなるのもこの時期(1941年)である。太平洋戦爭が始まると対白人感情からか余裕がなくなったからか、ルパン譚の新規(guī)発行はピタリと止まる。