彌生はいくつもの啓示を受けるようにしてここに來た。それは、おばである、ゆきのの家。濃い緑の匂い立ち込めるその古い一軒家に、変わり者の音楽教師ゆきのはひっそりと暮らしている。2人で過ごすときに流れる透明な時(shí)間。それは失われた家族のぬくもりだったのか。ある曇った午後、ゆきのの弾くピアノの音色が空に消えていくのを聴いたとき、彌生の19歳、初夏の物語は始まった。大ベストセラー、そして吉本ばなな作品初の文庫(kù)化。