失戀の痛みと、都會の疲れをいやすべく、ふるさとに舞い戻ったほたる。大きな川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切な何かを、彼女は取り戻せるだろうか……。赤いダウンジャケットの青年との出會い。冷えた手をあたためた小さな手袋。人と人との不思議な縁にみちびかれ、次第によみがえる記憶――。ほっこりと、ふわりと言葉にくるまれる魔法のような物語。