坂口安吾の短編集『能面の秘密』傑作推理小説集。

「酔ってアンマをとるうちには変な心も起きやすいから、その壁にかかった鬼女の面をかぶってもらおう」

メクラのオツネは、客の大川から、いつものようにそう言われ、鬼女の面を顔につけてアンマを終えたが、その夜、旅館が火事となった。焼け跡から発見された大川の変死體。

過失死か、他殺か?

事件の謎は、ただ無気味な鬼女の面だけが知っていた。

表題作ほか七篇を収録。鬼才安吾が、 知的パズルの面白さを存分に駆使した、傑作推理小集。