白水社 B6ハードカバー 2005年2刷 帯付

今年(2005年)は澁澤龍彥が他界して18年目、著者にとって結(jié)婚生活と同じだけ時(shí)が流れたことになる。
 惜しまれる急逝ではあったが、その間全集も刊行され、回顧展も各地で開催されるなど、依然として孤高の思想家の地位はゆるぎなく、人気の衰えを知らない。
 本書は18年という長(zhǎng)い沈黙のはて、夫龍彥との生活を靜かにふりかえろうと、ようやく筆をとった、待望の書き下ろしエッセイである。
 書斎のオブジェや愛用の品々、付近の散歩、食卓の様子や夫婦喧嘩の「お叱り帖」にいたるまで、これまで知られていなかった日々の生活が浮き彫りにされているばかりか、三島由紀(jì)夫、吉行淳之介、石川淳、埴谷雄高、稲垣足穂、吉岡実、種村季弘、土方巽といった異能の才人たちとの交流や、旅行の思い出、さらに、発病から沒後の日々までを、妻ならではの視點(diǎn)で明らかにしている。
 遺作『高丘親王航海記』のあとに書こうとしていたもの。それは2人の最後の旅行先、山口を舞臺(tái)にしたものだった。

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