『お才と巳之介』は大正4年に発表された150ページくらいの中編小説。江戸時(shí)代を舞臺(tái)にした 《毒婦もの》 という點(diǎn)、前年に書かれた 『お艶殺し』 に通じるものがあるけれど、本作は全編ドタバタ喜劇である。
商家の次男坊?巳之介は女中?お才に戀をする。しかし、彼女はとんでもない悪女で、すでに番頭とデキている。巳之介はさんざん貢がされ、むしり取られるのだが、なぜかお才に惚れたまま、ひたすら追いかけ続ける。最後のほう、悪い番頭にだまされて遊郭に売り飛ばされる巳之介の妹はかわいそうだ。
『異端者の悲しみ』、『細(xì)雪』 なども同様だが、谷崎の小説に登場(chǎng)する主人公の妹はたいていひどい目にあうのである。