







自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
あの人はいま 高部努
異様な熱気に包まれた昭和の蕓能界
感動の短編小説集。
「消えた蕓能レポーター」
「あの人は今」「蘇州夜曲」
「同窓生夫婦」「マネージャーの悲哀」
登場する方々(仮名で)
弘田三枝子 美空ひばり 島倉千代子 都はるみ
南沙織 村田英雄 三沢あけみ 川島なお美
中山美穂 田原俊彥 ロスインディオス
ミッキーカーチス 山下敬二郎 小柳ルミ子
北島三郎 ジャニーズ事務(wù)所 三橋美智也
中村美律子 橋幸夫 デュークエイセス
石野陽子 南野陽子 片平なぎさ 淺野ゆう子
石川さゆみ 山口百恵 桜田淳子 西川峰子
森昌子 小林旭 渡辺はま子 笹川良一
児玉譽士夫 淺田美代子 林寛子
ほか多數(shù)
レビューより
短編集5編
スター誕生,3人娘など昭和バブルあたりの蕓能界の裏事情の暴露本のような體裁の小説.いかにもありそうあったに違いない物語.
昭和の蕓能界を舞臺にした小説です。しかしある程度の年齢の読者ならば、まるでノンフィクションのように感じることでしょう。そのくらいリアルに蕓能界の「裏」が描かれています。「ホントにこんなことがまかり通っていたの?」と疑ってしまう部分もありますが、「あの頃」は何でもアリの時代だったのだろうと妙に納得してしまいます。
本書の舞臺は蕓能界だが暴露本の類(たぐい)ではない。聞いたような名が出てきたり、こんなふうなこともあったなと思い出し笑いをしたりする読者もいるかもしれないが、眼目はそこではない。
歌は世につれ……時代を検証するには流行歌や映畫やスターといった蕓能界を眺めるのが手っ取り早い。蕓能記者だったこともある著者は華やかなりし蕓能界の內(nèi)幕に詳しく、登場人物の言葉や仕草のひとつひとつ、混沌とした猥雑感さえもが昭和そのもの、時代の空気が活寫されている。
本短編集に「蘇州夜曲」という一編がある。田舎の素封家が、かつて戦地で生きぬく支えとなった歌を忘れられず、歌手志望の娘のために財をつぎこみ、蕓能プロの口車に乗せられて土地まで売ってすっからかんになってしまう話だ。売り物の歌手に手をつけてしまい消えてゆくマネジャーや鳴かず飛ばずで場末のスナックに流れてゆく男女、今なら大騒ぎになる菓子箱の底に札束……なんていうのも日常茶飯事だった。
著者は前書きでこう記している。昭和の蕓能界は善悪は別にして、熱気に満ちた、哀愁のただよう世界だったことは事実だろう。しかもふしぎに悲壯感がない。それは本書を読んでもわかる。
お調(diào)子者もお人よしも役立たずも、しくじって笑われて泣きをみて……なんでも許容されていた時代が今となってはなつかしい。