「ぼくは、きみだよ。きみの幽霊だ」 部屋の壁をとおりぬけ、突如あらわれた男は、じれったそうな表情で、私につぶやいた。
そいつは、どう見ても私とは似ても似つかぬ、陰気で馬面の中年男だった。
あの世界も、最近はせち辛く、人間社會で死んだ人の権利を買うのがむずかしくなってきた。
幽霊になりそこねた死後の私と言い爭っていた時、又しても、出現(xiàn)したのは、幽霊社會管理局の美人ディレクタ 一だった……。
鬼才、都筑道夫が、クラシックな怪談からSFスタイル、ブラック?ユーモア風(fēng)にと披露する怪談小説の傑作集!